9月11日の本体値下げにあわせXbox360を買いました。すべては……テイルズオブヴェスペリア(以下ヴェスペリア)のため。そう、僕は救いがたいほどのテイルズオブ野郎なのでした。
本体とヴェスペリアが届いてからはや10日、休日にしか遊べないためプレイ日数は4日間。しかしながらプレイ時間は40時間超。基本的に寝てもさめてもヴェスペリア三昧……面白い、面白いですよコレ……!! そんなわけでこの記事ではヴェスペリアの簡単な感想でも。ちなみにまだまだプレイ途中なのでネタバレのしようもありません。今後なんらかのかたちでヴェスペリアを楽しもうという方もご安心ください。ただ主観的な私感がメインの感想記事であるため、テイルズオブハーツの迷走を笑って許せる程度の心の広さは必要です。
なおプレイ環境は以下のとおり。
とまぁこのような感じ。風のうわさによるとXbox360本体のHDDにゲームをインストールできる機能が近々搭載されるかもということですが、少なくとも現段階では発表されておらず当然今回もディスクプレイです。
またモニターにはハイビジョン(D4/1280x720ドット)で映し出しています。先日デスクトップPCの新調にあわせてD端子ビデオキャプチャカード『PV4』を購入、利用してみたのですが正常に動作しているようです。ASUSのマザーボードと相性が悪い、グラフィックボードとの干渉がある……などなど不具合報告があるようなので不安はありましたが、僕の環境(P5Q + GeForce 9600GT)では期待通り動作してくれています。詳しい仕様はこちらに。
このようなプレイ環境でヴェスペリアを遊んだ人間の感想です。以上、前置きでした。
テイルズオブが好きな人にとってストーリーがどれほど重要な要素かはわかりませんが、このヴェスペリアを評価するにあたってはストーリーはさほど重要視されないものと思います。少なくとも僕は『わかりにくい』ストーリーであると感じました。
まず主人公一行がなぜ旅をしているのかをよく忘れます(プレイヤーが)。主人公たちが何のために戦い、そして何を相手に戦っているのか、ゲームをロードするたび思い出すのに苦労することもしばしばです。それというのも旅の目的と理由が道中にころころ変わるため。ゲームを進めていくと理由が後づけされたり目的がすりかわったり分かれたり、めまぐるしく変化していきます。プレイヤーとしては事態を飲み込む間もなく(そして個々のイベント自体にオチもなく)新しいストーリーが語られる格好に。そのため、次の街へは何をしに行くのか、このボスとはなぜ戦うのかを見失いがちになるのです。
飽きの来ない起伏のあるストーリー、と書けば聞こえはいいでしょうが、問題はその起伏が中途半端であることです。各キャラクターの持つ旅に出るそもそもの動機が説明不足であり、それが物語中で語られていく……もスケールの小ささに拍子抜けすることも。『で……結局なんで君はこのメンバーの中にいるんだ』、とパーティメンバー全員に問いかけたくなります。
また、ゲーム進行とともに発生するイベントも彼らの動機と関係があるんだかないんだかわからないような内容のものが多いため、ますますストーリーの本筋はもやの中へ。唯一はっきりわかるのは各キャラクターの個性。テイルズオブシリーズ恒例の『チャット(キャラクター同士の雑談)』は本作でも健在であるため、彼らがどのような人物であるかだけはよくわかります。
ストーリーのことはゲームに任せて、サイドストーリーをチャットで楽しむ。これが正しいテイルズオブの楽しみ方だとすれば本作はまごうことなきテイルズオブシリーズの一作です。ただこれがRPGなのか視聴者参加型ドラマCDなのかは判断に迷うところです。
ヴェスペリアのストーリーが"目的と理由を見失いがちになる"要因には、動機づけの弱さ(小目的と大目的の差がないとも言える)を主要因として、ほかにもイベントの多さや設定の複雑さがあげられると思います。振り返ってみるとラタトスクのストーリーがまともなものだったように思えるから不思議です。ラタトスクはツッコミ所(矛盾)は多かったにせよ、ストーリーの大筋はシンプルでした。ヴェスペリアも設定をもっとシンプルなものにするかカロル先生をもっと早い段階で覚醒させるかすればあるいは起伏のある刺激的な物語になったかもしれません。
パーティメンバー7人、各キャラクターごとに一言ずつ。客観的な情報は公式サイトを参照していただくと良さげです。
ユーリ。主人公が最初から人としてある程度成熟しているという、これまでのテイルズオブとしては初代ファンタジア以来の事件が起きました。Xbox360のプレイヤー層を考えればシンフォニアのロイドのような熱血少年が主人公では温度差が生じそうなので、これはこれで正しい選択であったと思います。ストーリーの中でこの設定がどう好影響を及ぼしたかは実際にプレイして判断していただくとして、僕から言いたいことはただひとつ。そのダイビングスーツみたいな服を前開きにするのはどうかと思うぜ……!!
エステル。ピンクの髪と白い服という一見華やかな服装、ですが……プレイを続けるうちに実は地味であることに気づきます。スカート部分がチューリップのように膨らんでいるため、不恰好にすら見えます。過去作と同様、コスチュームを変更する称号がいくつか用意されているため、早々の変更をお勧めします。なんならダウンロードコンテンツでプレイ開始時から変更しても良いかもしれません。僕もそのひとりですしね!! ……と、見た目のことからツッコミを入れましたが、やっぱり見た目は大事だと、そう思わせるヒロインでした。性能面で言えば治癒術師という役割でありながら防御力的な意味でとても硬いため、肉弾戦もばっちりいけます。また『貴婦人』という驚愕の職業設定であるためフェンシングもお手の物。やっぱりセレブたるもの蝶のように舞い鉢のように刺さなきゃ!! えー……ちなみにゲーム内で一番印象に残ったエステルはチャット中に表示される『何か汚いものを生理的に嫌悪するような顔』ですかね……。
ラピード。犬。サザエさんでいうところのタマ。よく存在を忘れられる。
カロル。カロル先生。中の人は渡辺久美子、そう、国民的大ヒーローたるケロロ軍曹の声もあてているわけですが、こちらカロル先生と声が使い分けられていないため、つまるところカロル先生が何をしゃべってもケロロ軍曹がしゃべっているようにしか聞こえません。ですがそれも物語終盤まで。いつの間にかカロル先生がカロル先生としてしゃべっているように聞こえるようになるはず、であります!! 次回作テイルズオブハーツでも起用が決定した千葉紗子演じるツンデレ少女・ナンとのやりとりが絶妙に最強。わっふー!!
リタ。このヴェスペリアの80%はリタのためにあるといっても過言ではない……いや、もう99%くらいといってもいいかもしれない。あとの1%はナンのためにとっておくんだ。リタの魅力をどこを切り取って語りだしていけばいいのか、僕には荷が勝ちすぎる大役ですが、ひとことで示すなら……ツンデレ……いや、ツンデレじゃない、ツンデレなんていう広範な一言で括ってはいけない……そう、リタは、リタなんだ……!! 勝気で強気、自称天才、他称変人、研究一筋な当世最強術士!! と、くればこれまではデスティニー2のハロルドしか長いテイルズ史には存在していませんでした。しかし、ここにハロルドと双璧をなす天才魔導少女15歳(※ハロルドは23歳)が現れました。その名は……リタ・マルディオ!!!! 性能面でもハロルドに迫るほどの強力無比ぶり。ほぼすべての術を一手に引き受けるマルチぶり、そして術師優遇のゲームシステムのおかげでパーティメンバーからはずすという選択肢がありえません。また、術を詠唱する際のダンス『くるくるリタ』は世界規模でブームの兆しを見せています。今日も『以下省略!!』というやっつけ詠唱台詞を聞くために全世界10万人のヴェスペリア購入者がタイダルウェイブを野に放つのでした。
レイヴン。竹本英史ってナレーション畑のイメージが強いよな……と思ってWikipediaで調べたところとんでもないネタバレが書かれていて凹んだのも今は昔。愛すべきいいおっさんです。戦闘面で見てみると、シリーズ代々不遇な歩みとともにある弓使いのなかでは比較的まともに使える部類です。とりあえず軍馬に乗ることはないし、秘奥義だって没になるなんてことはないよ。
ジュディス。青い髪、エルフ耳、久川綾。うん、レナ・ランフォードだね。とまぁそんな先入観がありましたが、ところがどっこい、いい見た目いいキャラいい性能、と3拍子そろった名キャラクターでした。特筆すべきは戦闘時のポテンシャル。竜使いという設定のため空を翔ける翔ける。3段ジャンプ、ダストアタック空中6回攻撃、空中ダッシュ、空中コンボ連携、空中奥義、ロマンキャンセルジャンプキャンセル……うん、そうだね、ギルティギアだね。
以上、このメンバーの中ではとりわけリタが素晴らしく素晴らしいです。シナリオ面でも戦闘面でも移動時のパーティ表示キャラ面でも、リタを選んでおけば素晴らしいヴェスペリアライフは約束されたも同然です。ただ一点言わせてもらうとすれば、『リっちゃん』はシャーリィのためにある呼び名だってば!!
ヴェスペリアは6人が6人ともそれぞれにいい個性を持っていて、パーティ選びにもいい意味で困ります。シナリオの進行上、メンバーが入れ替わる機会が多いため、6人それぞれの長所も短所もおのずとわかってきます。6人……ああ、そうだ、6人と1匹だった、うっかりうっかり。
ゲームシステムや戦闘、美術、音楽、声優、テイルズオブ恒例のおまけなどについて書く時間とスペースがなくなってしまったので、続きます。……たぶん!!
2010年11月22日 0時更新
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この作品のシナリオの目的は、私達今を生きる全ての人間にとっての教本だと言える。
ユーリが行った断罪については賛否両論あるが、私は否定しない。
何故なら最終的には上に立つ全知全能な存在の保証のない我々にとって、種族の内部で起こった共食いを収束できるのは法でも秩序でもなく、人間だからだ。
法も所詮は断罪を正当化する為の人間が作った言い訳に過ぎない。
目の前で生きた人間が殺される時は2つに1つの選択しか無い。
目の前の多くの命を見捨てて法や秩序を優先するか、それらに背いてでも目の前の命を助けようとするか。
ユーリは後者、フレンは前者だとすぐに理解した。
私の目にはどちらかと言うとユーリの方が人類の深層心理に忠実だと思った。
人はその昔群れで暮らした高度な生き物。目の前で仲間が敵に襲われれば助けずにはいられないのが本音だ。よって、もしも万人にそうする勇気と覚悟があるなら全ての人間が彼のような行動に出ても不思議ではない。人間が人間の新しい秩序を守るのは、その秩序が秩序としての機能を保っているからだ。その脆い秩序が本の一時でも失われ、混沌の状態になればその中でも絶対的且つ最終的な旧いもう一つの秩序が優先されざるを得ない。我々は神ではなく人である。そうである以上その正義も罪深く不完全なものであると、本作を通じて私は学んだ。