毎週ヘタなマンガ編集者よりマンガを講読したり外遊先にまでマンガ雑誌を取り寄せて読書にふけったりするナイスミドルが外務省の大臣になって久しくなりましたが、そんな彼・ローゼン大臣がこのたび第2回国際漫画賞を開催するそうです。もともと国際漫画賞はローゼン大臣の発案により今年創設された賞。7月に行われた第1回は運営側の不手際により対象作品が公募ではなく関係者の推薦によりノミネートされるという、決してオープンとはいえない形態となってしまいました。
アニメ!アニメ!によると第2回となる今回はきちんと“誰でも参加出来る漫画賞”となるようです。以下公式サイトの応募要項(pdf)より抜粋します。
1. 目的
海外での漫画文化の普及2. 応募作品
(1) 日本国外で制作された漫画(MANGA)作品(4ページ以上)とする。(制作時期及び発表・未発表は問わない。)ただし、第1回国際漫画賞受賞作品及び同奨励賞受賞作品を除く。
(2) 応募作品の提出は、紙媒体に限る。
(3) 日本国外の出版社等は、作者に応募の意思を確認の上、本賞に応募することができる。
コレ↑を読めばおわかりいただけると思いますが なんとこの賞は日本のマンガは対象となっていません。日本で開催される賞なのに!
世界でもっとも(おそらくは段違いに)読まれているMANGAは日本のものでしょうし、“国際”なればこそ日本も含めた全世界のマンガが対象となるべきではないでしょうか。日本のマンガがノミネートされれば審査に優勢に働くから、日本のマンガのレベルを考えれば他国のそれと比肩させることなどナンセンスであるから さまざまな考えがあるのかもしれませんが、僕としては日本のマンガが世界の土俵に立つ日を夢見ていますし、おそらくは全世界の人がガチンコの対決を望んでいるのではと思います。
そもそも『漫画』の定義もよくわかりません。シュールな2コママンガ(元日の読売新聞に掲載されているような)のことをさしているのか、ストーリー漫画のことをさしているのか。応募要項には4ページ以上の作品とあるのである程度のストーリーは要求されていますが、逆にそれ以外に規制らしい規制がないためどんな漫画を応募すればよいのかわかりません。作家も困るでしょうし審査員も困ります。マンガ誌の新人賞だって各賞(誌)ごとに性格があるため大体の基準にはなります。国際漫画賞が求めているのはギャグマンガなのかストーリーマンガなのか“魅せる”マンガなのか 部門賞を開設しないと絶対にカオスなことになる! いまから予言しておく!
関連して『萌え』が通じる審査員かどうかも非常に大事。どうにもこのテの賞ではとかく『萌え』がマイナス評価されていそうなので不安になってしまいます。大臣の好きなローゼンメイデンが評価される漫画賞でなければ日本人としてはつまらないものになりそうですよ。全世界10億人(推定)のOTAKUにも不評であること間違いなし。『海外での漫画文化の普及』という目標も薄っぺらい物に思えます。なんだかんだでマンガ(MANGA)のなかで『萌え』は既にはずせない要素になっているはず。『萌え』も美意識のひとつとしてカウントされて然るべきです。
もし本当に『マンガのノーベル賞』を目指すのであれば、もっとしっかりとしたコンセプトをもって、しっかりとした評価体制を整え、しっかりとした応募要項を用意して開催するべきではないでしょうか。日本のマンガはマンガ以外の書籍をはるかにしのぐ売り上げと人気を持っている文化。本国では“カルチャー”としか扱われないマンガが世界のひのき舞台で“文化”として花咲ける日を僕は願ってやみません。
2010年11月22日 0時更新
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